ULSIにおけるラジカル制御低誘電率膜超微細エッチング

目的

次世代ULSI低誘電率層間絶縁膜エッチングプロセスにおける形状制御

背景

近年、大規模集積回路(ULSI)は、情報処理量の増大化や機能の複雑化などから大容量かつ高速動作が求められている。これらの要求を満たすため、 素子の微細化や高集積化、配線の多層化などが進められている。しかしその一方で、素子の微細化により起こる配線遅延の増大が現在大きな問題となっている。 この問題を解決するためには、配線の層間絶縁膜として低誘電率(Low-k)膜を導入が不可欠です。そこで本研究では、Low-k膜としてエッチングプロ セス時に地球温暖化係数の高いフルオロカーボン系のガスを使用しない有機Low-k膜に着目しました。

今後、更なるULSIの微細化に伴い、Low-k膜の加工において数nmオーダーの高精度な形状制御が要求されます。しかし、エッチング特性は、電 極温度やガス組成、流量等の外部パラメータを固定しても種々の要因により変化します。したがって、高精度な形状制御の実現には、エッチング特性を直接決定 するプラズマ中の基板温度やラジカル密度等の内部パラメータを計測し、制御することが必要です。そこで本研究では、内部パラメータによる有機Low-k膜 のプラズマエッチングプロセスの制御を目指しました。

アプローチ

図1に実験装置図を示します。上部電極に100MHz電圧、下部電極に2MHz電圧を印加して容量性結合プラズマ(CCP)を生成するエッチング装 置を用いて実験を行いました。装置には、真空紫外吸収分光法(VUVAS)によるラジカルモニターと低コヒーレンス干渉計を用いた基板温度モニターが取り 付けられています。またチラーにより下部ステージを冷却し、ステージと基板の間に冷媒としてHeを注入し、基板温度を調整しています。有機low-k膜で あるSiLKの65nmパターン基板をH2 / N2混合プラズマでエッチングしました。エッチングレート から10%オーバーエッチングし、パターン基板の断面SEM像をもとにボーイング形状を評価しました。エッチングプロセス時は、基板温度やラジカル密度を リアルタイムに計測し、それらのパラメータとエッチング形状の関係を評価しました。

Schematic diagram of experimental setup

図1 : 実験装置図

実験結果

図2はエッチング形状の基板温度依存性です。基板温度は、飽和温度の平均を取りました。この図から各温度における垂直形状に近づくラジカル密度比が わかります。これを基に基板温度に合わせてラジカル密度を変化させる新規のプロセスを考案し、ほぼ垂直な形状の制御に成功しました。

Result : Sub. Temperature vs Boeing

図2 : エッチング形状の温度依存性

[戻る(back)]