プラズマプロセスは超高集積回路作成におけるドライエッチングや太陽電池として 用いられる水素化アモルファスシリコン、液晶ディスプレイの薄膜トランジスタに 用いられるポリシリコン、次世代半導体デバイスとして期待されるダイヤモンド薄 膜等の機能性材料の薄膜堆積を遂行する基幹技術です。そのため、ギガビット級メ モリ素子の実現、高効率の太陽電池等に向けた活発な研究開発がなされています。
従来、プラズマプロセスの最適化は、微細加工の結果や堆積薄膜を評価し、これら とプロセスの外部パラメータ(圧力、流量、放電電力、使用ガス種等)の相関を 探索することにより経験的になされてきました。しかし加工の微細化や大面積化、 堆積膜質の高度な制御等の要求が高まるにつれ、従来型の経験的な手法では要求 を満たすことが難しくなり、プロセスプラズマ内の物理化学過程を把握し、これ に基づいてプロセスを制御する必要性が認識されてきました。プラズマ内のラジ カル(活性種)はプロセスにおいて重要な役割を担い、多くの場合プロセスを決 定づけます。従って、ラジカルをその場計測し、その結果をフィ-ドバックする ことでプロセスの高度な制御・管理を行う方法を確立することが急務です。
本研究では、真空紫外領域(100nm~200nm)、紫外から可視領域(200nm~740nm)、 近赤外から赤外領域(740nm~20μm)の光を発振可能な各種レーザシステムに より、プラズマプロセス中における原子状ラジカル、分子状ラジカルの密度、 エネルギー、種類を高精度に測定しています。
更に、プラズマ計測のための超小型光源を開発し、インラインで使用可能な小型 ラジカルモニタを開発しました。これにより、インラインでのプラズマモニタリ ングと、フィードバック制御による自律型ナノ製造装置の構築に成功しています。