現在の大部分の工程でプラズマが使われている半導体デバイスプロセスでは、ナノメートル寸法の精度での超微細加工 が必要とされている。その実現の為にはプラズマ中の粒子をモニタリングし、それらから高精度に、かつ、リアルタイムに反応を制御することが重要である。ナ ノメートルレベルでプロセスを高精度に制御する為にはプラズマプロセス装置に起因する外部パラメーター(圧力、パワー、ガス流量、ガス混合比など)ではな く、プロセス中での反応を直接決定している内部パラメーター(粒子の密度、種類、エネルギーなど)を計測し、時空間でプラズマを制御する技術が必要不可欠 となっている。
「自律型ナノエッチング装置」とは、プラズマプロセスにおいて極めて重要な粒子であるラジカルを精密に測定することができるラジカルモニタリングシ ステムを用い、また、ラジカル絶対密度以外の気相、及び基板表界面での反応をリアルタイムでモニタリングし、装置に制御情報としてフィードバックすること で、反応空間の状態が常に最適な状態になる様にプロセス条件を自律的(リアルタイムでの自己診断・自己修復・自己制御)に制御してナノ加工を行う装置で す。
次世代ULSI用有機系低誘電率層間絶縁膜において、ナノメートルレベルの高精度(微細、垂直)加工を目的とし、ラジカルモニタリングシステムを用 いて、プラズマプロセス反応空間にて生成される原子状水素ラジカルと原子状窒素ラジカルの絶対密度を、高精度基板温度モニターを用いて、エッチング特性を 決定する重要な情報である基板温度をリアルタイムに計測する事が可能である。これらの情報から、HラジカルとNラジカルのラジカル密度比を自律的に制御す ることで、最良なエッチング速度、エッチング形状を得ることができる。また、分光エリプソメトリーを用いてサンプルの膜厚の変化についてもモニターでき、 これらのプラスマプロセス情報はラジカル密度にリンクした情報としてデータベースに保存され、最適なプロセス条件の選択、及び自律型制御系のセルフチュー ニングの為に用いられる。
図1 : 装置構成