ナノバイオセンシングデバイス

非平衡大気圧リモートプラズマによるナノバイオセンシングデバイスの表面加工プロセス

背景

手のひらのサイズのナノバイオデバイスで、簡単に人の健康状態のチェックや診断ができるシステムを目指した研究開発が現在盛んになりつつある。ナノバイオセンシングデバイスは、極微量のたんぱく質や細胞などを早く、正確に解析できるといった優れた機能をもっている。このような単一細胞や単一生体分子レベルにまで至る生体情報を計測するには、細胞親和性の向上や生体環境下でのデバイス作動を可能とするためのデバイス界面性質の制御が必要である。そこで、材料間の接着界面を低温でも改質できる大気圧非平衡プラズマを用いる界面性質の制御手法が注目されている。大気圧非平衡プラズマは、電子温度のみが高温でガス温度は常温程度であり、熱に弱い材料の活性化にも適用可能である。従来の低圧プラズマに対して、電子密度は2桁以上高く、反応性の高いラジカルを多数生成できるため、界面改質プロセスに有効である。これまでに、シリコン絶縁膜を、200 ℃以下の低温で表面凹凸を制御して化学気相成長法(AP-PECVD)堆積に成功してきた。本研究では、このAP-PECVD法をさらに発展させ、材料界面の物理化学的に解析を進め、接着に係わる表面物性を制御できる技術を実現させる。さらに、バイオセンサーに使われるガラス材料、ポリマー材料と細胞などの接着を制御しうる大気圧非平衡プラズマ表面改質技術を目標として研究を実施する。

アプローチ

本研究の第一段階では、まず非平衡大気圧リモートプラズマを用い、ヘキサメチルジシロキサンのミストを原料とする疎水膜の成膜を行った。本研究室で開発した60 Hzの交流電力を使用し、電子密度が1015 cm-3 以上の超高密度プラズマを生成する能力を有するAC励起大気圧非平衡プラズマ装置を用いた。放電ガスには H2/Ar 混合ガス(Ar:5 slm)を使用し、生成されたプラズマ内に、超音波二重槽法によって、ミスト化したヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を供給した。基板を往復運動させて撥水膜堆積を試みた。成膜された試料の撥水性を接触角接線法により評価し、 膜の化学的な構造及び物理的な構造をそれぞれフーリエ変換型赤外分光法(FT-IR)、走査型電子顕微 鏡(SEM)により評価した。

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